2013/07/10
ドイツ−日本研究所(在東京)経営・経済研究部長のフローリアン・コールバッハさんのレポート”高齢者マーケットに熱くなる日本企業”を読んだので、その感想を。
日本の人口が減少し始めたのは2005年のことである。2010年10月には65歳以上の高齢者が人口の25%、50歳以上が43%となり、このパーセンテージは世界でもっとも高い数値である。こうした人口の変動により、国内市場の縮小ばかりでなく、労働力不足やノウハウの喪失への危機感が生まれた。だが その一方で、急速な高齢化により「シルバー・マーケット」あるいは「高齢者市場」と呼ばれる市場の可能性が開かれたのである。
世界史上例を見ない猛烈な高齢化がやってくる日本がこの難局で解決策を見いだせるかどうかは注目のテーマであることは間違いありませんね。
労働市場においてもシルバーマーケット、高齢者市場は確実に存在感を増しており、今後は若年層を中心とした転職支援や派遣ビジネスを行ってきた会社がシニア領域に事業拡大することは確実視されています。
個人的にはこれらの大手人材企業のオペレーションは20代30代の若者と非正規の女性向けに作られたもので、シニア人材とのマッチングはそれ程良いとは言えないため、この社内の人材不足で対応できていないような気もします。
2007年から「ベビーブーム世代」の定年退職が始まった。これにより「2007年問題」と呼ばれるかなりの大問題が生じたのである。「ベビーブーム世代」は狭義では1947〜1949年生まれの人々のことだが、その2年後(1950年・1951年生まれ)にまで範囲を拡大すると1070万人がこの世代に当たる。そのうち現役なのが820万人で、これは労働人口の12%強に相当する。彼らがみな一斉に退職したとすればどうなるのか……。
現状は定年を延長したために、2007年問題が2012年問題となって先送りされています。つまりこの世代の方々はまだ企業に在籍しています。
ある程度の規模、定年退職者が多く発生する企業では、現在定年再雇用制度の再構築や再雇用人材の活用が大いに議論されています。
たとえば、2007年にパナソニックが発売した「らくらくウォーカー」は、膝に痛みを抱えた人用の歩行補助器で、足の筋力を補助してくれる。また、日本の 最大手ランジェリー・メーカーであるワコールは、シルバー世代や介護を受けている人向けのブランド「らくラクパートナー」を立ち上げた。たとえば、袖ぐり が大きく自分で着脱しやすい。ボタンもエッグ型ボタンやスナップボタン、マジックテープ式になっている。また、けが防止のため作られ2007年に発売され た「あんしんウォーカー」のようなものもある。このパッド付きのガードルは、転倒の際に大腿骨頸部を保護してくれるだけでなく、座る際や歩行時の筋肉をサ ポートしてくれるのだ……。
また、この増え続けるシルバー世代向けの商品・サービスにも注目が集まっているようです。
らくらくフォンは知っていましたが、らくらくウォーカーやらくラクパートナーは知りませんでした。
確かに貯金も資産も年金も高齢者に集中していますから、この世代はマーケティング戦略上ホットなわけです。
日本の75歳以上の25.4%が貧困下にある。これに対して、経済協力開発機構(OECD)の平均で75歳以上の貧困者は16.4%。フランスでは10.6%である。
しかしながら同時に貧しい高齢者も大勢おり、4人に1人は貧困下にあるようです。
ハフィントンポストの記事で、「生活保護受給者の内60歳以上の受給者が全体の半分を占め、19歳以下の子どもも約15%おり、20代から50代までの受給者は約3分の1」という記事を見て、厚生年金から零れ落ちた高齢者も随分大勢いるのだなと感じていたのですが、高齢者の4人に1人が貧困層というのは怖い事実ですね。
今日やはり感じたのは、高齢層の貧困層を少なくするという意味でも、セーフティネット発想ではなく、労働市場における商品価値を持たせ、労働力として活用できる事実を創らなければいけない、ということです。
現在シニア活用.comの大改修を検討中、頑張ります。
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