繰り返されるシリコンサイクルの「谷」を耐えるだけの財務余力はあるものの、グローバルで展開される開発投資競争の中で徐々に市場シェアを落としていた。経営陣はリーマンショック時の受注減からの復活が進まない理由として、ライバルに後れを取っている技術部門の問題に着目し、改革を強力に推し進めることを決定した。
当社では、経営メンバーからヒアリングを行い、事業環境、組織、機能、業務内容などを分析した。また、今後の経営戦略を確認し、次世代の経営メンバーのスキルセットを設定した。ターゲットの設定においては、「ユーザーの意向を反映させた画期的な装置を開発しなくてはいけない」という経営メンバーのコメントに着目し、ユーザー側の技術責任者を複数ピックアップしスカウト活動を実施した。加えて事業変革期であることと、厳しい経営姿勢を貫く必要があることを候補者に説明し、ターンアラウンドを実行する幹部の意思統一を図った。最終的に技術系役員を含む複数のキーポジションでの採用が実現した。
事業変革期には、経営陣の明確な意思を反映させた人事も必要である。長らくシェアを落とし続けていた問題の根源はユーザー視点が薄れたことにあり、ユーザー側の技術幹部を招聘することで、技術部門の開発課題が明確となった。また、性能・仕様に大差ない中で、ユーザーがベンダーを選ぶポイントが明確化できていなかった現状も改善、開発投資を集中することに成功した。